エコロジー・持続可能開発・エネルギー省(DEGC)

10月12日午前10時、新凱旋門の32階で、エネルギー・気候変動局、原子力産業本部副本部長のシャルル・アントアーヌ ルエさん、国際担当のマリー・フランソワーズ ゲラールさん、そして原子力安全・放射線防護担当のローレンス ロイさんが、私たち一行を出迎えてくれました。

新凱旋門は、新たに開発された地区で、フランスの古い文化を守っていく姿勢と、新しい文化を融合させる意欲の象徴的存在です。
また、ルエさんは、研修生として日本にいたことがあり、日本語も話されました。

ルエさんから、フランスの原子力政策の現状を説明いただきました。
2012年5月6日に実施された大統領選挙の結果、最大野党・社会党のオランド候補がサルコジ氏を破り、大統領に就任しました。
オランド大統領は、次の方針を表明しています。
・国内最古のフッセンハイム発電所のみ閉鎖
・2025年までに総発電力量に占める原子力の割合を現在の75%から50%に縮減する
・フラマンヴィル原子力発電所3号機の建設は継続
・核燃サイクルは継続

これからのエネルギー政策は、国民公会討論で決定されます。
9月14日に第1回目の討論会が省庁主催で開催され、環境、原子力、生物の多様性、省エネ、そして再生可能エネルギーをテーマに話し合われました。2013年夏に結論を出す予定です。
原子力に関しては、脱原子力ではなく、原子力に依存しないベストミックスを目指していきます。

特に、総電力量に占める原子力の割合を75%から50%に縮減するということは決して原子力発電を縮減していくということではなく、これから2025年まで現在の原子力発電量を維持し、その時点での電力需要が伸びていることを想定し、相対的に総電力発電量に対して、原子力発電量が50%になるという方針だそうです。

福島の事故による影響は?
フランスでは、事故後の世論調査では、原子力に対する影響がありましたが、事故後1年を経て、事故前の水準に戻ったそうです。

原子力関連施設立地地域の世論は?
住民は、原子力施設に慣れているし、信頼も寄せてもらっている。また、雇用もある。

原子力施設立地のための振興策は?
80年代後半~90年代前半、職員、住宅、学校、経済面での地域支援

地方情報委員会(CLI)を設置し、原子力関連施設の情報公開に努めました。
メンバーは、県議会議長が委員長で、行政、地方議員、市民団体、農業者組合の組合員、NPO団体など、全ての情報を公開し、議論し、情報を全ての人々が共有することを目的としています。

1999年にオブライエン原子力発電所で、台風による強風のため、高潮が堤防を越え安全上重要な浸水がありました。冷温停止状態ではありましたが、ASNより浸水対策が支持され10年かけて対策は完了しました。

公開討論は、ガス、バイオマス、ビルの省エネ、公共交通機関、エネルギーの価格など多岐にわたり、貧困層もエネルギーにアクセスできることも話し合われています。テーマごとに分会を作り、それぞれに各層が参加して、結論をだしていきます。

エネルギー・気候変動局、原子力産業本部副本部長のルネさんが私たちに訴えておりました。
「フランスでは、核燃サイクルは共有されています。1日も早く日本の原子力発電所が再稼働してほしい。フランスだけという孤立は避けたい。日本の協力は、不可欠です。」

続いて、国際担当のゲラールさんは、エネルギーのミックスの重要性を訴えていました。フランスの今日のエネルギー政策は、非常にバランスが取れており、原子力は、その中でも産業の競争力を高め、電気の価格を適正にし、ヨーロッパ各国に電力を提供するために必要不可欠である。
また、原子力安全・放射線防護担当のロイさんは、国民公会討論会後の政府によるエネルギー政策の決定を注視していると話してくれました。
「公開討論を非常に歓迎しています。国民全体が参加できるわけではないので、これからの意見を言いたい。原子力発電は、国際競争力を保つために必要です。自分もリスクは承知している。原子力=青森。」
福島の事故後は?
「以前は、原子力が主力でしたが、今後は、原子力と再生可能エネルギーが2本柱。原子力の利点を活かしていくべきです。フランス国民は、原子力に反対していない。」

フランスのエネルギー政策は、これから国民によって決定されますが、原子力は、これからも継続して推進し、再生可能エネルギーと2本柱としていく事となるのではないでしょうか。
日本も、国民的議論が必要です。
原子力の安全性、日本の国際競争力、経済性、人材育成、産業育成、そして何よりも国民の理解が必要であり、これらの総合的な議論が必要です。

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