令和元年第298回定例会(2019-06-21)

県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
通告に従い一般質問を行わせていただきます。
私たち、県民主役の県政の会は、県政に対して、是々非々で臨み、県民のためになる事は、積極的に協力し、県民の理解を得られないと思われるものには、断固として反対、改善していきたいと思います。
今後、4年間、県政発展のため、県民のため、誠心誠意、努力して参りますので、皆様方のご指導を賜りますよう心からお願い申し上げます。

まず始めに、「青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦」の推進についてお伺い致します。
三村県政が、4期12年の間に進めてきた、青森県の行財政改革は、県民の皆様に評価されるべきものであると考えます。
知事就任前、県債残高は増え続け、プライマリーバランスも悪化、県の財政基金も急激に減少し、県財政は、危機的状況であったと思います。
そのような中、就任直後から、県の行財政改革に取り組みました。
一般行政部門において職員の適正化を進め、平成16年に、5321人いた職員は、平成30年には、3849人となり、約1500人もの削減を断行しました。
指定管理者制度の導入により、民間にできることは、民間へ、と委譲を促し、県有施設の長寿命化によるコスト削減にも取り組んできました。
財政健全化では、収支均衡を実現し、平成29年から3年連続して当初予算での基金取り崩し額ゼロを達成。県債残高も平成25年の1兆2853億円から平成29年には、1兆1331億円と、約1500億円の削減に成功しました。
そして、「選ばれる青森」への挑戦は、これからの青森県の目指す姿を県民の皆様にわかりやすく示しているものと考えます。
・若者や女性の皆さんから、学ぶ場所・働く場所・生きる場所として「選ばれる青森」
・農林水産品や観光、北海道・北東北の縄文遺跡群など、様々な分野での青森県の価値が、国内外から「選ばれる青森」を目指していくという大きな目標であり、これらの達成は、青森県の未来を切り拓いていく原動力となります。
特に、青森県は、高校を卒業して就職する子どもたちの約4割が県外に、首都圏の大学に進学した子供たちの多くは、就職先がないため、青森に帰れないという、厳しい状況が、既に、何十年も続いております。

「子供たちに選ばれる青森」づくりこそが、私たちの最大の課題ではないでしょうか。
知事にお伺いいたします。
⑴ 若者から「選ばれる青森」の実現に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします

次に、核燃料サイクル政策についてお伺いいたします。
福島の原発事故以来、原子力を取り巻く環境は大きく変化しました。
特に、本県が推進している核燃料サイクル政策では、劇的な変化があったものと考えます。
サイクル政策の中心である「高速増殖炉もんじゅ」は廃炉、プルトニウムを再利用する手段は、MOX燃料によるプルサーマル発電に頼らざるを得ない状況となっております。
原子力委員会は、原子力基本法にのっとり、「利用目的のないプルトニウムは持たない」という原則を堅持し、平和利用にかかる透明性を高めるために、これ以上プルトニウムを増やさない、再処理等の計画の認可に当たっては、六ケ所再処理工場、MOX燃料加工工場及びプルサーマルの稼働状況に応じて、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう許可を行うと決定しました。
現在、MOX燃料を装荷して再稼働している原子力発電所は、計4基となっていましたが、本年4月に原子力規制委員会がテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の完成が期限に間に合わない原発に停止命令を出す方針を決定したため、これらの原発の停止が現実味を帯びてきました。このままでは、再処理施設が稼働しても再処理が実施されないという事態も考えられます。
このように、国策である核燃料サイクル政策は大きく状況が変わっています。
大臣が変わるたびに国に確認に行くのではなく、内閣官房長官をはじめとした関係者が出席する核燃料サイクル協議会で国の考えをただすべきと考えます。
最後に核燃料サイクル協議会が開催されたのは、震災前の平成22年だと聞いています。その後原子力を取り巻く状況が大きく変わっていますので、

⑴ 県は、核燃料サイクル協議会の開催を国に求め、核燃料サイクル政策の変更の有無を確認すべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
⑵ 知事は、県内で多くの方々の声を聞いたといっております。選挙の結果を踏まえ、知事は、原子力政策に対する県民の声をどのように受け止め、どのような姿勢で5期目に臨むのか、お伺いいたします。

次に、航空自衛隊三沢基地所属 F‐35A戦闘機の墜落事故についてお伺いいたします。
本年4月9日19時27分頃、航空自衛隊三沢基地、第3航空団所属の最新鋭ステルス戦闘機F‐35Aが、青森県東方太平洋上(三沢基地東方約135キロ)に墜落するという事故が発生しました。
まずは、この事故で亡くなられたパイロットのご冥福を心から祈り申し上げますとともに、ご家族にお悔やみを申し上げます。今回の事故は、ヒュウマンエラーとも言われております、亡くなられたパイロットのためにも、徹底した原因究明が行われますことを切に願います。
今回の事案は、航空自衛隊の戦闘機が墜落するという自衛隊史上でも類を見ない重大事案であり、更に、これから同型機が総数で147機にも上る導入計画があり、しっかりした原因究明と再発防止策が求められております。
6月10日に防衛省の審議官が、青森県を訪れ、F‐35A戦闘機墜落の要因と再発防止策について報告があり、その中で、
要因として、操縦者が「空間識失調」(平衡感覚を失った状態)に陥っており、そのことを本人が意識していなかった可能性が高いこと、対策として、空間識失調教育等を行っていくことが示されていたと伺っております。

また、マスコミでは、報告終了後に危機管理局長は、「様々な声を聴いて適切に対応したい。県民の不安払しょくのため丁寧に説明してほしい。飛行再開など次のステップに進むに当たっては、国の説明があってしかるべきと思う」と報道されておりました。
今回は、太平洋上での事故ではありましたが、報告書の内容からすると、今後、青森県の陸上での発生の可能性も考えられます。それが、主に操縦者の訓練というだけで、同じような事案が発生しないといえるのか、甚だ疑問です。
今回の事案は、三沢基地周辺の住民を中心に県民に多大な不安を与えることとなりました。未だにフライトレコーダーが見つかっていないため、確たる墜落の要因がわからないこと。県民が納得いく再発防止策が示されていないこと。それにも関わらず、飛行が再開されるかもしれないという不安。
青森県の役割は、県民の生命と財産を守ることです。
米国会計検査院の報告によりますと、現在、F-35プログラムは、2018年12月に予定より3か月遅れで運用テストを開始し、本年12月に終了する予定となっています。運用テスト開始が遅れた理由が
① F-35 の重大欠陥を解決するため
② 2018年9月のF-35B墜落事故に対応するための予期せぬ飛行禁止のため
と記されております。

また、2018年6月、米国会計監査院は、F35プログラムを指揮する米国防長官に対して、本年10月に行われる予定のフル生産決定前に、すべての欠陥を解決すべきと勧告しました。
F-35A戦闘機は、米国では、まだ、運用テスト中で、解決すべき課題を数多く抱えております。その、戦闘機が、間もなく、青森県の三沢基地で、飛行再開されようとしております。次の事故が起こらないと確信できるのでしょうか。
そこで質問いたします。
国がしっかりとした事故原因の究明と再発防止の対策がなされないうちに飛行再開が行われないよう、県として国に要望すべきと考えますが、知事の考えを、お伺いいたします。

次に青森県立高等学校教育改革推進計画についてお伺いいたします。
現在、進められている第1期実施計画(2018~2022)では、推進計画の課題と問題点を浮き彫りにいたしました。
平成29年4月26日、県教委が県立高校の統廃合計画案を公表した時点から、閉校の対象となった高校や定時制高校などの地元関係者からは、怒りや落胆の声が上がりました。
「4年後の閉校は、乱暴すぎる計画だ。高校が無くなれば、町の商業にも影響する。郡部の活性化のためには郡部に高校を残すべきだ。」と90年の歴史を誇る五戸町の五戸高校。設置主体を県立から、町立に変更して存続させることを目指していましたが、昨年3月、10年間で27億円もの資金を必要とするため、町財政では、不可能と判断し、断念しました。
独自に生き残りの道を模索し、地域の学校の在り方に一石を投じたのではないでしょうか。
金木高校の存続を訴える「金木高校を応援する会」は、存続を望む1万人余りの署名を集めました。五所川原市議会では、青森県立金木高等学校の存続に関する意見書を全会一致で可決。「金木高校の存続を強く求める」と述べて、要望書と署名を県教育長に手渡しました。

およそ、全ての対象校に共通していると思われるのは、
① 地域活力の原動力として、地元に高校を残したい。
② 閉校までの時間が短すぎる。
③ 意見交換会での声や地域の声が、どのように反映されたかが不透明であり、最初から結論ありきではないのか。という声です。
県教委そして、県当局は、これらの地域の声にしっかりと答えていくべきと考えます。
そこで質問いたします。
⑴ 青森県立高等学校教育改革推進計画第1期実施計画の進捗状況をお伺いいたします。
また、間もなく第2期実施計画の策定が始まり、更なる統廃合が進められていくこととなり地域と高等学校教育の在り方が改めて問われることとなります。
⑵ 第2期実施計画の策定に当たり、県教育委員会ではどのように取り組むのかお伺いいたします。

今回、統廃合の対象となっている高校を抱える黒石市議会では、県教育委員長に、青森県立高等学校教育改革推進計画第1期実施計画の再考と決定の延期を求める意見書を提出いたしました。その中で、「地域の子供たちの将来を考えると、もっと私たち地方議会や地域住民の意見を聴き、それを踏まえた上で、充分時間を掛けて検討を重ね、オール中南地域で今後の方向を決めるべきと考えます。」と訴えております。
私は、青森県立高等学校教育改革推進計画の要は、県と市町村の連携、地域と学校の連携、そして、「選ばれる学校づくり」だと考えます。
そこで、教育改革の先進事例として注目を集めている「隠岐島前教育魅力化プロジェクト」を紹介したいと思います。

島前高校は、島根県の松江市からフェリーで約3時間半を要する隠岐諸島にある県立高校です。2007年頃から隠岐諸島の3町村と島前高校による協議会が立ち上がり、「島前高校魅力化プロジェクト」が始まりました。今では、日本だけではなく、海外からも注目を集めている取り組みとなっており、その概要は、次の通りです。
10年前、島前地域では、この地域唯一である隠岐島前高校が、生徒数の減少により廃校の危機を迎えていました。
高校が廃校になると、高校生が地域からいなくなるだけでなく、働き盛りの親たちが家族ごと島をでる。
人口減少に歯止めがきかず、地域の少子高齢化は加速、伝統行事や一次産業は担い手不足で衰退し、地域の活気は失われ、やがて島に住む人がいなくなる。そんな、なりゆきの未来が予想されました。
そんな暗い未来が見える中、島前3町村が協議し、活路を見出したのは、生徒が行きたくなる、保護者が行かせたくなる、地域が行かせたくなる、そんな「魅力的な学校をつくる」ことでした。
様々な立場や意見の違いはありましたが、お互いの地域への想いや子供たちへの想いを共有し、互いに折り合いながら、少しずつ連携を進めてきました。その結果生まれたのが「島前高校魅力化プロジェクト」です。
これまで、学校・行政・地域住民が協働し、日本各地から意志ある入学制を募る「島留学」制度や、地域住民が島留学生の支援をする「島親」制度、山積する地域課題にチームで協働的に取り組む課題解決型の探求学習の構築、学校・地域連携型公立塾「隠岐國学習センター」の設立など様々な取り組みを進めてきました。
現在では、離島・中山間地域では異例となる生徒数の倍増を実現し、日本全国、更には、海外からも生徒が集まる高校になりました。同時に、高校への地域内進学率も高まり、子供たちの地域外流出が止まりました。
また、生徒たちは学校だけでなく島全体で学び、地域に活気をもたらしています。海士町への影響を見てみると、観光や人口などにとどまらず、地域の祭りで神輿が復活するなど文化面にも波及していることがわかりました。
その結果、「いつかこの島に戻ってきたい」という生徒も現れ始めています。学校や地域が魅力的になると、地域に子供が留まり、若者が流入する。そして、未来の担い手が増えることで、地域の文化・産業が継続・発展する。最終的には、それが更なる魅力につながり、好循環を生み出すことになったのです。
これからも、私たちは、島前地域での課題解決の実践が日本の未来を切り拓くことにつながると信じて日々の活動に取り組んでいきます。常に変化し続ける状況や社会課題に対し、私たちの挑戦はまだまだ続きます。と結んでおります。
三村知事も選ばれる青森県を政策の柱に据えて今後4年間の任期を挑戦していく表明をされました。
質問いたします。
⑶ 第2期実施計画の策定に当たり、知事はどのような考え方で、どのように関与していくのか知事の見解をお伺いいたします。

次に本県小・中学校における外国語教育の充実に向けたALT(外国語指導助手)等の活用についてお伺いいたします。

現在、小学校3年生から英語活動が始まり、聞くこと、話すことを中心に授業が行われております。
「選ばれる青森県」では、国内外から選ばれる青森を目指しており、その基礎としてグローバル社会に対応した「英会話力」を本県の子供たちに身に着けてもらうことが大切だと考えます。大学受験改革も進められ、会話力の重要性が改めて認識されています。いずれ国では、小学校1年生からの教育に変えていくものと確信しております。
本県の田舎館小学校では、すでに、英語特区制度を利用し、小学校1年生から英語活動を実施しており、担任の先生とALT、学習支援員の方が協力して効率的な授業を進めておりました。幼稚園、保育園から英語活動が行われており、村独自で切れ目のない英語活動を実施するためです。
英会話は、基本的に耳で聞いて、覚えていく作業になります。ALTを活用し、子供たちにネイティブの英語を繰り返し聞かせ、子供たちがそれをまねていくことに尽きると思います。ALTの活用が重要だと考えます。
そこで質問いたします。
⑴ 本県各市町村立小・中学校におけるALT等の活用状況についてお伺いいたします。
⑵ 特別の教育課程を編成・実施している市町村立小・中学校におけるALTの活用状況についてお伺いいたします。
⑶ 小中学校における外国語教育の充実に向けてALTを活用した授業の充実が重要であると考えるが県教育委員会の取り組みをお伺いいたします。

次に、障碍者雇用についてお伺いいたします。
まず、知事部局における障碍者雇用の状況についてです。
中央省庁などで雇用する障碍者の人数が水増しされていた問題を受けて、再発防止策を含む、改正障碍者雇用促進法が今月7日、参議院本会議において全会一致で可決成立しました。
公的機関で雇用率の不適切な計上が発覚した場合、厚生労働省が是正するよう勧告できる権限を新設したものです。青森県でも知事部局をはじめとする公的機関での障碍者雇用率の達成は待ったなしとなりました。
⑴ 始めに、知事部局における障碍者雇用率の現状についてお伺いいたします。

改正障碍者雇用促進法が成立した翌日、国会では、昨年秋以降に採用された障碍者2518人のうち、131人が退職したことが明らかになりました。また、中央官庁の緊急雇用により、民間企業から障碍者人材が多数流出したことも明らかになりました。どのように働く障碍者をサポートしていくのか、どのように多様な障碍者雇用を実践していくのかなど、課題が山積しております。質問いたします。
⑵ 県は、障碍を有する職員が継続して働くことができるよう、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

次に、県教育委員会における障碍者雇用の状況についてお伺いいたします。
私は、県教育委員会の障碍者法定雇用率達成について、何度も県議会において、議論して参りました。しかし、現状では、達成のめども、道筋も見えていないと思われます。勿論、県教育委員会として、教員全体が法定雇用率算出の分母になるため、通常の取り組みではなかなか達成が難しいのも承知しております。県教育委員会と県議会、そして民間の知恵をお借りして、この問題に対処していくべきと考えます。
お伺いいたします。
⑴ 昨年度、障碍者の任免状況を再点検した結果、県教育委員会の障碍者雇用率はどのようになったのかお伺いいたします。

⑵ また、県教育委員会では、これまでどのように障碍者雇用に取り組んできたのかお伺いいたします。

全国では、法定雇用率2.4%を達成している都道府県教育委員会が5か所あると伺っております。そういった事例も参考にしていくべきではないでしょうか。
⑶ 障碍者雇用率の改善に向けて、県教育委員会では、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、黒星病対策についてお伺いいたします。
青森県のリンゴは、青森県で思い浮かぶもののランキングの第一位であり、まさに、青森ブランドの代表といっても過言ではありません。毎年1千億円の販売額を誇り、海外輸出額も5年連続で100億円を超え、本県輸出拡大戦略の主力商品であり、今後、タイやマレーシアなど、東南アジア各地への輸出拡大も見込まれております。リンゴを守ることは、青森ブランドを守ることにもつながっていきます。そのためにも、HCCPやGlobal GAPなどの衛生管理や食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」への世界的な移行や、欧米で広がっている有機栽培への関心の高まりなど、世界に選ばれる青森県を目指すに当たり、まだまだ取り組んでいかなければならない課題が山積しております。
その中で、本県りんご農家が抱えているのが黒星病への対応です。
先日、青森市浪岡地区のリンゴ農家を訪れ、現状を伺って参りました。
今年は雨が少なく、今のところ黒星病の発生は少ないものの、春から、共同防除により既に8回の薬剤散布を行い、年合計、17、8回となり、労力と経費の負担が増えているとのことでした。
県の指導に従い、対策を講じる程、農家の負担が増えるという状況になっております。青森県がリンゴを県の顔として、世界に売り出していくためには、生産者に寄り添い、支える政策が必要ではないでしょうか。そこで質問いたします。
⑴ リンゴ黒星病の現状について県はどのようにとらえているのかお伺いいたします。
⑵ また、リンゴ黒星病の発生を抑制するために、県はどのような対策を講じているのかお伺いいたします。

最後に、県営施設における省エネルギーなどの取り組みについてお伺いいたします。
青森県行財政改革行動計画の中で、公共建築物におけるエネルギーの使用について「青森県管理施設 省エネルギー等推進要綱」などに基づくエネルギーの取り組みを実施することにより、エネルギーの使用量及び光熱水費の低減を推進する、となっております。
取組指標1は、施設ごとのエネルギー消費量において、毎年度、直近5年間での年平均1%以上の低減。
取組指標2は、省エネ等に関する調査、設備機器運用改善など、毎年の改善に努める、としております。そこで質問いたします。
⑴ 県庁舎耐震・長寿命化改修事業における省エネルギー対策の内容についてお伺いいたします。
⑵ また、県庁舎エコスサービス事業の概要及びこれまでの実績についてお伺いいたします。
⑶ 現在の県庁舎エコスサービス事業契約の終了後の県の対応についてもお伺いいたします。
エスコ事業の中でも、電気料金が光熱費の中で、大きなウエイトを占めると伺っております。県が管理する公共施設は、トータルで、かなりの数に上るのではないかと思われます。それぞれの施設の、電力消費量には、違いがあると思われますが、これらをまとめて一元化すれば、かなりの電力消費量になるのではないでしょうか。国では、電力の自由化、発送電分離など、民間の力を引き出す取り組みが積極的に行われております。
そこでお伺いいたします。

⑷ 県の施設にかかわる電力契約の一元化や入札による電力購入等を導入することにより、電気料金の削減が見込めると考えますが、県の考え方についてお伺いたします。
以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。

発議案第2号の提案理由

民進党会派の渋谷哲一です。
発議第2号、日米地位協定の見直しを求める意見書について提案理由の説明を行います。

本年、5月、沖縄県うるま市で、20歳の女性会社員が遺体で見つかり、元米海兵隊隊員の軍属が殺人と強姦致死の疑いで逮捕されました。
このような事件は、後を絶たず、そのたびに、日米地位協定の見直しと再発防止策、綱紀粛正が求め続けられてきましたが、現在に至るまで問題の根本的解決には至っていません。
被害女性の両親は、娘の死を受け入れられないまま、「絶対に許せない」と仏壇にご飯や水を供えて手を合わせ、娘を思って涙を流す日々を送っているとの報道に、やるせない気持ちでいっぱいになります。
青森県も米軍基地を抱えており、同じような凶悪犯罪が起こった場合に県民の安全安心をどのように守っていくのか、を考えたとき、県議会としても、沖縄県民の心に思いをはせ、私たちが、今、出来ることをすべきと考え、発議第2号として提案いたしました。

さて、去る6月3日、渉外関係主要都道県知事連絡協議会(略称:渉外知事会)による、「沖縄県における米軍属による事件に関する緊急要請が、外務省、防衛省及び在日米国大使館に対して行われました。この渉外知事会は、在日米軍基地を抱える14都道県で構成されており、国内での基地問題に対して協議し、問題解決を目指す目的で、毎年、要請活動を行っております。
三村知事は、現在、副会長を務めており、県として今回の緊急要請にも参加しておりますので、その内容を紹介いたします。

本年5月、沖縄県において、女性の遺体が発見され、米軍属の男性が逮捕されるという、悪質かつ残虐な事件が明らかになりました。
突然、このような形で若く尊い命を奪われた被害者やご遺族の無念は計り知れません。
こうした凶悪な事件の発生は、基地と隣り合わせに暮らさざるを得ない住民の、安全で安心な生活を根底から脅かすものであり、断じて許すことはできません。
当協議会では、これまでも事件が発生するたび、米軍構成員等の規律の厳正な保持、教育訓練の徹底など、適切な措置を講ずるよう、繰り返し強く求めてきました。
それにも関わらず、再び、凶悪な事件が発生したことは、米軍に対する国民の信頼を大きく損なうものです。
現在、被疑者の身柄は日本側が拘禁しており、直接的には、日米地位協定上の刑事裁判権の問題は発生しないと考えられますが、こうした事件をなくし、基地問題を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考えます。
日米両国政府におかれては、このような凶悪な事件が二度と繰り返されることの無いよう次の対策を講ずることを強く要請します。

1)これまでの再発防止策では事件の発生を防止できなかったことに鑑み、改めて米軍構成員のみならず軍属に対しても、実効性のある、徹底かつ具体的な再発防止策を早急に策定し、確実に実行に移す子と。
2)基地問題の根底にある日米地位協定の改定に、速やかに着手すること。
3)大きな基地負担を担っている沖縄県をはじめとする、米軍基地所在自治体の負担軽減を図ること。

以上が、緊急要請の内容です。

日米地位協定は、昭和35年に締結されて以来、50年以上もの間、改定されていません。
渉外知事会では、これまでも基地を巡る様々な問題を解決するため、国内環境法令の適用、裁判権の見直し、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置することなど、日米地位協定に係わる提案を行い、繰り返し改定を求めてきましたが、政府においては、基地に関する問題が発生する都度、運用改善で対応してきているだけです。
もちろん、運用改善で対応できるものは積極的に取り組むべきと考えますが、米軍基地に起因する環境問題、事件・事故などを抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考えています。

沖縄県民のやり場のない怒りと青森県民の不安を考えたとき、三村知事を含めた渉外知事会の切実な思いを受けとめ、車の両輪に例えられる県議会の役割があると考えます。
よって、三村知事と共に日米地位協定の改定を速やかに実現させるため、青森県議会も、日米両政府に対して、地方からの声を届けるべきと考えます。
5月末に、自民党沖縄県連は、協定の一定の見直しが必要とみて、党本部に改定を要請したとの報道がありました。この問題は、政党に関係なく、国民の一致した願いでもあります。議員各位のご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、提案理由説明とさせていただきます。

平成28年6月第286回定例会一般質問

民進党会派の 渋谷 哲一 です。

議長のお許しをいただきまして、所見を交えながら、一般質問を行わせていただきます。

先月行われました伊勢志摩サミット終了後、安倍総理による消費増税延期の発表とオバマ大統領の広島訪問が大きな話題となりました。この二つの事案は、私たちに、「政治の責任」について、考える機会を与えてくれました。

まずは、消費増税の延期です。

安倍総理による、2019年10月までの消費増税再延期を発表は、与党自民党内にも異論がありながら、公の会議では、特別な反対論も出ず、了承されました。
その一方で、野党第一党の民進党は、増税延期を容認し、社会保障の充実策を、予定通り実施するよう訴えておりました。

実際、多くの青森県民も増税には反対しており、「何も、景気の悪い今、増税しなくてもよいのではないか。増税によって、苦しい生活が、より一層苦しくなる」と訴えております。

その一方で、日本の財政状況に懸念を示す人も多く、「このまま借金し続けて大丈夫なのか?子供たちや孫たちに、この借金を先送りすべきではない。」といった意見も聞かれます。

どちらの意見も正しいと思います。
特に、経済が長期に低迷している青森県では、県民平均所得は、全国最下位レベルであり、消費増税は、生活を脅かす大きな問題です。

さて、来年4月に予定されていた、消費税10%には、大きく3つの目的があったのではないかと思います。

1つ目は、「社会保障と税の一体改革」に示されているように、社会保障の充実です。
増税分の内、約1.3兆円を、低年金者への年6万円の給付金や、低所得者の介護保険料の軽減、待機児童ゼロのための保育所整備等に充てる予定でした。

2つ目は、財政赤字の圧縮です。
政府は、2020年度に、基礎的財政収支(いわゆるプライマリーバランス)を黒字化する目標を立てております。
しかし、2016年度の国と地方のプライマリーバランスは、約15兆円の赤字であり、黒字化達成は、困難だといわれております。本来は、増税分が財政赤字圧縮のために使われる予定でした。

3つ目は、国際社会から、日本の財政への信頼を得ることです。
日本の借金は、GDPの2倍を超え、先進国で最悪の財政状態です。このまま借金を増やし続ければ、日本経済の将来に国際社会からの厳しい評価を受けることになります。
2020年のプライマリーバランスの黒字化は、今では、国際公約となっております。

2015年度の国の一般会計予算の中で、社会保障関係の費用は、約31.5兆円で、国の予算の約3分の1となっており、その中でも年金と医療費が大きな部分を占め、年々増加し続けております。
少子高齢化、人口減少が進む中、「無駄遣いをなくす」だけでは、財政赤字は、解決しないと思われます。
財政赤字の主な原因である、社会保障費の拡大を抑える改革をしないまま、財政再建は不可能であり、同時に日本の成長産業を育成し、税収を増やす取り組みが必要です。

福祉大国 スウェーデンは、1990年代初めのバブル崩壊により、財政危機に直面しましたが、政府の果敢な取り組みにより、5年後には、危機を脱しました。

1993年、財政赤字がGDP比11%になり、スウェーデン政府は、翌年から財政再建に取り組みました。
年金給付や失業手当の削減、医療費の自己負担増、高所得者対象の緊急増税、社会保険料引き上げなどGDPの7.5%に相当する歳出削減、歳入拡大策を実施し、1998年までに、わずか5年間で、財政収支を黒字化させました。
勿論、日本とスウェーデンでは、財政規模も借金の規模も違います。

しかし、大事なことは、財政問題の解決に向けた、政治の覚悟ではないでしょうか。国民に丁寧に説明を尽くし、身を切る改革を行うことです。
国民の多くは、私たち現役世代の借金を、子や孫たちに先送りすることは望んではいないはずです。ましてや、ギリシャのように財政破綻に至るまで、問題を先送りするなど決して考えてはいないはずです。

増税先送りは、青森県にも大きな影響があります。
国は、増税を前提に、社会保障の充実を、都道府県にも求めております。
地域医療介護総合確保基金事業など、多くの社会保障政策は、結果的に県負担を伴います。
また、殆どの自治体は、3割自治と称し、予算の約70%を、地方交付税交付金や国庫補助金等に頼っているのが現状です。ひとたび、国の財政破綻が現実味を帯びれば、同時に、各自治体も危機に直面することになります。
これまで三村知事を先頭に取り組んできた青森県の財政改革は、着実に成果を上げ、プライマリーバランスの均衡をとることが出来ました。
青森県や他の自治体の努力を無に帰さないためにも、国の財政再建は、急務であります。

今回の増税先送りに対して、マスコミに次のようなコメントが載っておりました。

「今の政治は、与党も野党も、次の世代より、次の選挙しか考えていない。」
この批判に、私たちは、真摯に向き合う必要があるのではないでしょうか。

日本の財政再建問題を、慶応大学の小林教授は、「救命ボートのジレンマ」を例に説明しているので、紹介いたします。

何人かの集団が救命ボートに乗って漂流している状況で、ボートが沈み始めてきました。
誰か一人が犠牲になれば、ボートは沈没を免れて、残りの人は全員助かる。
しかし、もし、誰もボートから降りなければ、沈没して全員が死ぬ、といったジレンマです。

日本の財政健全化と社会保障制度の持続性の維持という課題は、まだ生まれていない将来世代も含む複数の世代間での巨大な「救命ボートのジレンマ」です。このまま日本の財政悪化を放置すれば、将来のいずれかの時点で物価の大幅な上昇によって国債の価値が下がり、実質的な債務不履行が発生します。
通貨の信認も失われ、大幅な円安で日本国民の資産は、目減りし、インフレ率や金利は激しく変動し、国民生活は大きく混乱。
市場の信認を回復するため、政府は歳出の厳しい削減を余儀なくされ、社会保障制度を大幅に縮小せざるを得なくなります。
信用が損なわれた日本政府は借入れ困難が恒常化し、統治機能が劣化して、経済成長率も長期間に渡り低迷することになります。
このような事態が起きれば、将来のすべての世代が継続的に不利益をこうむります。
一方、現在世代が自己犠牲的な精神を発揮して、増税と社会保障支出の削減によって財政を健全化するならば、将来の日本の経済社会は安定し、これから先の何世代もの人々の生活は改善していきます。

小林教授は、最後に、次のような提案をしておりました。
「政治から、独立した長期財政予測機関を設立し、その機関に、議会や政府の財政運営を、規律づける権限を与えるような民主制度の補正が必要である。」

本来は、国会、そして地方議会が、この役割を果たすべきであり、政治が問われていると感じました。

次に、オバマ大統領の広島訪問についてです。

原爆投下は、終戦を早め、結果的に多くの米兵の命を救ったため、必要であったというのがアメリカでの根強い議論です。
しかし、近年行われた調査では、若い世代ほど原爆投下に否定的な意見が賛成意見を上回っているという結果を聞き、私は、胸を撫で下ろしました。
広島、長崎に投下された原爆は、子供や女性、高齢者など、普通に日常生活を送っていた21万人もの一般市民の命を一瞬で奪いました。
パリやアンカラで行われた無差別テロと何が違うのでしょうか。

昨年、成立した安全保障関連法は、日本の未来を大きく変えるものでした。
これまで、日本の自衛隊は、平和憲法のもと、海外で、人命を奪ったことはありませんでした。ところが、集団的自衛権の成立により、同盟国の戦争に参加することが可能になったのです。
有事の際には、青森の第5普通科連隊から、航空自衛隊 三沢基地から、そして、海上自衛隊 大湊地方隊から、多くの若者が派遣されることになります。

ある60代の男性から、「自分の息子は、自衛官なので、安保関連法に、表立って反対はできない。しかし、将来、息子を戦地に送りたくはない。是非、廃止するため頑張ってほしい。」と訴えかけられました。

また、ある女性からは、「娘が自衛隊入隊を考えていたが、大丈夫でしょうか。止めさせたほうが良いでしょうか」と、問いかけられました。

近年、頻発している大災害や捜索活動では、自衛隊は、欠くことのできない存在であり、もし、他国が日本を攻撃してきた時には、命を懸けて国民を守ってくれるものと確信しております。
私たちは、その自衛官を海外の戦場に送る必要があるのでしょうか。送るべきなのでしょうか。

戦争や紛争には、必ず双方の正義が存在します。
正義や価値観は、国や文化によって大きく異なります。
日本は、どのようにして食い違う正義を判断するのでしょうか。
武力による争いは、憎しみを増加させるだけです。

有事の際、戦場へ行くのは、安倍総理でも、国会議員でもありません。
政治には、国民を守る責任と同時に、若者を戦場に送らない責任があるのではないでしょうか。

オバマ大統領が広島で行った17分間の演説は、次のように締めくくられておりました。
「世界中の子供たちが同じように平和に過ごせるようになるべきだ。それが、我々が、選び得る未来だ。そして、その未来の中で、広島と長崎は、核戦争の夜明けとしてではなく、私たちの道義的な目覚めの始まりとして記憶されるだろう。」

私たち、日本人の役割は、世界から貧困を無くすこと、そして、争いを無くすために、広島、長崎で起こった戦争の悲惨さを伝え、日本の平和主義を世界に広めることではないでしょうか。

それでは、質問です。
先ず始めに、青森県の防災体制の強化についてお伺いいたします。

熊本地震発生から約2か月が経過しました。
初めて震度7の地震が同じ場所で2度も観測され、余震も長期にわたり継続したため、被災者も行政も手探りの対応を迫られました。
報道によりますと、政府は、本震が起きた4月16日、被災地の要請を待たず、国が物資を送り込む、「プッシュ型支援」を実行しましたが、残念ながら、被災者の一歩手前で救援物資は止まってしまいました。
理由は「物資を仕分けるマンパワー不足」でした。
九州地方知事会は、災害時の支援協定に基づき、各県の応援部隊を派遣したのは、4月19日。
熊本県が市町村の状況をまとめ、人的支援を要請するのを待っていたためです。
被災自治体が、人手不足になることは何度も経験済みのはずですが、教訓は生かされませんでした。
(1) 東日本大震災の経験や、今般、熊本地方で発生した地震の教訓を踏まえ、県の地震・津波対策の強化についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
(2) また、熊本地方で発生した地震では、避難所に必要な物資が届かなかったことが指摘されているが、災害時の物資の搬送について県としてどう取り組んでいくのかお伺いいたします。
大規模災害時には、特に、高齢者や障がい者など、社会的弱者の命が失われます。一人でも多くの県民を救うため取り組んでいかなくてはなりません。
(3) 高齢者や障がい者などの避難対策は、どのように計画されているのかお伺いいたします。

次に、災害時における医療提供体制の充実強化についてお伺いいたします。
大規模災害が発生した直後からの医療提供体制を整えることが、より多くの被災した県民の命を救うこととなります。
東日本大震災や、今般の熊本地方で発生した地震により、多くの病院が相当の被害を受け、入院患者、職員等の安全確保に賢明の対応がされたと認識しています。
大規模災害時の医療提供体制の確保については、病院の機能が存続すると言うことが重要な要素の一つではないかと考えるものです。
このため、本県において、耐震化がされていない病院については、できるだけ早期に耐震化されることが重要であると考えます。
そこで伺います。
(1) 東日本大震災の経験を踏まえ、本県の災害時における医療提供体制の充実強化に向けて、県はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
(2) 県内の病院及び災害拠点病院における耐震化の状況についてお伺いいたします。
(3) また、県は、耐震化の促進に向けて、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
(4) 東日本大震災の経験を踏まえ、本県では災害時医薬品提供体制を、どのように整備してきたのかお伺いいたします。

次に、青森県のインバウンド対策についてお伺いいたします。

本年3月30日、国は、「明日の日本を支える観光ビジョン」世界が訪れたくなる日本へ を策定し、訪日外人旅行者数の目標を、2020年に現在の2倍の4000万人、2030年に、3倍の6000万人と定め、具体的な施策を打ち出してきました。
この、国の基本方針を受け、去る5月24日、観光庁は、東北6県への訪日外国人旅行を推進するため、全世界を対象にした大規模宣伝キャンペーンを始めると発表しました。近年、日本を訪れる外国人が急増しているものの、東北はその流れに乗り切れていないのが現状であり、オリンピックまでに、現在の3倍の外国人旅行者を誘客する取り組みです。
おりしも、青森県では、3月に函館までの新幹線が開業し、この夏、青森県・函館デスティネーションキャンペーンが行われる予定であり、東北キャンペーンとの相乗効果が期待できるのではないでしょうか。

(1) 日本、東北及び青森県を訪れる外国人観光客の延べ宿泊者数と、本県の現状をどのように捉えているのかお伺いいたします。
(2) また、これからの県のインバウンド対策について、どのように戦略的に取り組んでいくのかお伺いいたします。
(3) 北海道、北東北3県など近隣県との連携が重要と考えますが、どのような連携をしていくのかお伺いいたします。

次に、県獣医師職員の確保についてです。

青森県は、青森県基本計画未来を変える挑戦で、「強みをとことん、課題をチャンスに」をキャッチコピーに施策を推進しています。

農業県である本県は、農林水産業を成長産業と捉え高品質な県産品を産出していこうと取り組んでおり、食の安全・安心は不可欠なものであります。そのためにも、畜産業を支える県獣医師職員については十分に確保する必要があると考えますが、年々減少してきており、近年では、新採用者の確保の困難さに加えて、退職者も増えているようです。

県は、公務員獣医師不足が深刻な状況にある中で、獣医師職員確保のために、これまでも様々な取組をしてきたものと思いますが、これからは更なる取組が必要になるのではないかと考えるものです。
そこで伺います。

(1) 獣医師職員の確保に向けた県の取組についてお伺いいたします。
(2) また、近年、採用した獣医師職員に本県出身者が少ないと聞いております。安定的に獣医師を確保するためには、本県出身の獣医師を増やすべきと考えますが、県の取り組みをお伺いいたします。
(3) 採用を増やすと同時に、中途退職者を減らす努力も必要です。獣医師職員の中途退職者の現状とその対策についてお伺いいたします。

最後に、身近な犯罪の防止の取組についてお伺いいたします。
県民の生活基盤の一つとして「犯罪の被害に遭うことなく、安全に安心して暮らせる地域社会」があると考えています。
本県では、年々、犯罪は減少していると聞いておりますが、依然として自転車を盗まれたり、車の中からものを盗まれたり、あるいは振り込め詐欺の被害に遭うなど、県民の身近なところで犯罪が発生している現状があります。
これら身近な犯罪の防止について、地域住民からの声を良く聞き、連携して対策を進めていくことで、社会全体の防犯意識が高まり、犯罪が起きにくい社会が形成されて、強盗事件や傷害など命の危険に関わる犯罪も減少するのではないかと考えるものです。
そこで伺います。

(1) 先ず始めに、県内における犯罪の発生状況とその傾向についてお伺いいたします。

(2) 身近な犯罪を防止するための県警察の取組状況についてお伺いいたします。
(3) 地域住民からの犯罪防止に対する要望の把握とその対応についてお伺いし、

以上で、壇上からの質問とさせていただきます。

3月23日、議会最終日、一部反対討論

民主党会派の渋谷哲一です。
議案題3号「権利の放棄の件」及び、同議案に関連する予算が盛り込まれている議案第1号平成28年度青森県一般会計予算案に反対いたします。
それ以外の議案には、全て賛成いたします。

三村知事は就任以来、行財政改革に取り組んで来られ、その成果は、多くの県民が認めるところではないでしょうか。
知事就任時の厳しい財政状況、国の三位一体改革による地方交付税の減額など、県政の最重要課題に逃げることなく取り組んできたことは、評価すべきところです。
そうした取り組みの中で求めてきた県民負担についても、知事がいう「青森県をつぶさない」という言葉を信じ、県民も支持してきたのではないでしょうか。
私たち、民主党会派も、そうした知事の姿勢、政策に関しては、あくまでも県民目線に立ち、是々非々の立場で、各議会に於いて、賛成してきたところです。
しかしながら、今回提案のあった「債権放棄の件」については、あまりにも県民目線からかけ離れており、以下、主に三つの理由から反対いたします。

1つ目は、「三村知事が5年前に県議会と県民へ誓った約束を破ろうとしている」ということです。
5年前、「クリスタルバレイ構想」の中核を担っていたエーアイエスが破綻した時、私たち民主党会派は、追加投資を含む、総額29億円にも上る県費投入に対して、多額の県民負担につながる恐れのあることから反対いたしました。
貸工場事業継続の失敗を認めることもなく、知事は、29億円を20年以内に回収するという事を県議会に約束して追加投資を行い、なし崩し的に事業継続を決定しました。
知事は、議会、そして県民に対して嘘をついたことになります。
このまま、この議案を可決することは、県議会の存在意義を問われることになります。
今回、県は、メリットとデメリットなどを総合的に勘案して、売却を決定したとしていますが、メリットに関しては、具体的な数字を出していますが、デメリットについては、懸念ばかりを示してはっきりさせていないし、経済効果についてもどのように担保するのかも疑問であります。
県は、10年間の売却禁止条項を契約に、盛り込むとしておりますが、企業が事業不振に陥り、撤退してしまえば、何の意味もありません。事実、誘致企業の約15%が業績不振などを理由に撤退しております。

その一方で、ANOVAは、2期連続で黒字を維持しております。これまでのリース料減額分約2億円を含めて、これから回収しようという時期に、突然の売却提案です。これまで5年に渡る議論や取り組みが、将来に不安があるし、売却すれば大きな経済効果が得られるといった極めて曖昧な提案で議論自体が進められていることに対して極めて疑問を持つものであります。
知事は、ANOVAの経営は順調であり、20年以内に必ず貸付金を回収すると、これまで、議会と県民に説明してきました。県民との約束を守るべきです。

問題の2つ目は、特定企業に対して過剰に税金を投入しようとしていることです。
ANOVAに対しては、リース料を減額し、本来のリース料に比べて約2億円も少ないものとなっております。今回の売却により約19億円の債権放棄をし、更に、翔栄が誘致企業と認定されれば投資額の10%に当たる2~3億円の支援を行うことになります。
これらを合計すると約24億円もの県民負担となり、これでほんとうに追加投資分を回収しているといえるのでしょうか。
今回の議案について、多くの県民から意見が寄せられました。
21財団より設備資金を借りている県内の中小企業の方から、「私たちは、厳しい経営の中、コツコツと毎月返済しています。なぜ、特定の企業だけが優遇されるのでしょうか。」といった問いかけを受けました。
また、ある県民からは、
「19億2千万の債権放棄よりも、はるかに少ない経費で、青森空港有料道路を無料化することにより、もっと多くの県民全体のメリット、利便性を得られるのではないか。」との訴えを受けました。

県内には、地域の経済を支える多くの中小企業がありますが、それらの企業の経営状況は、決して良いとは言えません。県が支援すべきは、県内経済を支えるそれらの中小企業であり、多くの優遇措置をしている大企業、優良企業ではないと思います。
また、本来、県民の税金は、多くの県民が享受できるものにこそ投入されるべきです。

3つ目の問題点は、県の債権回収努力が見えてこない、ということです。
県は、答弁で今回の事案をチャンスと答えていましたが、県民に巨額な負担を求めるのにチャンスとはどういうことでしょうか。これこそ県と県民の意識に大きな隔たりがある表れではないでしょうか。
議会に対しては、貸工場の運営は順調だと答弁し続けていましたが、その一方で、実際は今後の運営に対して常に不安を抱えており、早く売却してしまいたいといった認識があるからこそ、債権回収の努力も見えないまま、売り急いでいるというのが実態ではないでしょうか。

民主党会派として、売却自体に反対するのではありません。
県による債権回収努力が見えないまま、安易に、多額の県民負担をもとめることに対して反対いたします。

今回の債権放棄は、少なくとも三村知事の責任であり、県議会もその責任を共有するものです。
まずは、県議会議員が議員報酬の削減をし、知事も自らの報酬を削減して、県民負担を少しでも減らす努力を示すべきではないでしょうか。

誰も責任をとらず、言葉だけの謝罪では、県民は納得しません。
自らの身を切る取り組みを県民は求めております。

以上の問題点を指摘し、一部反対討論といたします。

平成28年2月第285回定例会(予算特別委員会)質問項目

1 議案第1号 平成28年度青森県一般会計予算案について
(1)歳出6款1項13目 稲作振興対策費及び歳出6款2項2目 りんご生産対策費 産地パワーアップ事業費補助とTPP対策の取組について(農林水産政策課、農産園芸課、りんご果樹課)
ア 稲作における本事業活用の方向性について、県の考えを伺いたい。
イ 直播栽培技術の導入により、労力及びコストがどの程度削減されるのか伺いたい。
ウ 本事業で支援の対象となる経営体について伺いたい。
エ TPPによる米国産りんごの輸入について、県はどのように考えているのか伺いたい。
オ りんごを対象とした本事業の支援内容と期待される効果について伺いたい。

(2)歳入14款3項6目 商工貸付金収入 オーダーメイド型貸工場売却について(産業立地推進課)
ア 商工貸付金収入 21あおもり産業総合支援センター元金5億3千万円の内容について伺いたい。
イ 21あおもり産業総合支援センターは、オーダーメイド型貸工場の売却についてどのように判断したのか伺いたい。
ウ 貸工場を売却する場合は、公募等により広く購入希望者を募集するべきと考えるが、県の見解を伺いたい。

(3)歳出3款1項1目 社会福祉総務費 社会福祉法人制度改革の取組について(健康福祉政策課)
ア 社会福祉法人制度改革の内容について伺いたい。
イ 社会福祉法人制度改革における事業運営の透明性の向上に向け、県はこれまでどのように取り組んできたのか伺いたい。
ウ 「社会福祉法人における人材確保・育成に関する調査」の調査内容及び結果について伺いたい。
エ 社会福祉法人情報検索サイトの目的と期待される効果について伺いたい。
オ 社会福祉法人情報検索サイトには、県内全ての法人が登録すべきと考えるが、県の考えを伺いたい。

(4)歳出4款1項1目 生活習慣病対策費 がん対策の推進について(がん・生活習慣病対策課)
ア がん死亡率だけでなく改善率も全国ワースト1位となっているが、その原因をどのように分析しているのか伺いたい。
イ がん死亡率改善のためには、がん検診受診率向上が必要と考えるが、今年度、どのような対策に取り組んでいるのか伺いたい。
ウ 今年度の実績を踏まえ、来年度は、どのような対策に取り組むのか伺いたい。

(5)歳出3款1項4目 老人福祉費 まちなか高齢者サロンつどいの場モデル事業の取組について(高齢福祉保険課)
ア モデル事業の目的、内容及び平成27年度の実施状況について伺いたい。
イ モデル事業の取組を県内市町村に普及させるために、県はどのように取り組んでいくのか伺いたい。

(6)歳出2款2項4目 総合交通対策費 青森・名古屋小牧線就航5周年記念事業の取組について(交通政策課)
ア 青森・名古屋小牧線の利用状況について伺いたい。
イ 青森・名古屋小牧線の課題と今後の取組について伺いたい。
ウ 青森・名古屋小牧線の意義と今後の目標について伺いたい。

(7)歳出4款6項1目 自然保護総務費 白神山地「選ばれる世界遺産」プロジェクト事業の取組について(自然保護課)
ア 「白神まるごと体験博覧会」の目的と概要について伺いたい。
イ 白神山地への来訪者数の推移と特徴について伺いたい。
ウ 白神山地に女性が来たくなるような物語性とそれが伝わる発信を行うべきと思うが、県の考えについて伺いたい。

平成28年2月第285回定例会 質疑項目

1 議案第53号 権利の放棄の件 オーダーメイド型貸工場について

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(1)貸工場の売却にあたり、21あおもり産業総合支援センターと賃借人である株式会社ANOVAはどのような協議を行ったのか伺いたい。

(2)プラス面の効果について、これまでの5年間で17億円、今後の5年間で33億円、産業連関表で43億円としているが、その具体的な内容について伺いたい。

(3)株式会社翔栄が貸工場を取得しなかった場合、今後の賃料の支払への影響が懸念されるとあるが、いつからどのような影響があるのか伺いたい。

(4)株式会社翔栄が貸工場を取得できなかった場合、株式会社ANOVAとの取引がどうなるのか伺いたい。

(5)株式会社ANOVAにおいて、株式会社翔栄からの受注が増えれば、残りの他社との取引はどうなるのか伺いたい。

(6)貸工場を売却せずにこのまま貸工場事業を継続した場合、今後どのようなことが想定されるのか伺いたい。また、その場合、株式会社ANOVAは破綻するのか、それはいつなのか伺いたい。

(7)貸工場の売却がなされなかった場合の影響について、事前に点検会議で議論すべきであると考えるが、県の見解を伺いたい。

(8)株式会社翔栄は、貸工場を取得できなかった場合、県外に工場を建設すると明言しているのか伺いたい。

(9)株式会社翔栄は2年後までに生産体制を整えるという計画でよいか伺いたい。IMG_4509

(10)他の場所に工場を建設する場合、その工場はいつ完成する予定なのか伺いたい。

(11)株式会社翔栄が説明している「生産面における不安定要素」とは具体的に何か伺いたい。

(12)株式会社翔栄とは、貸工場の売却ではなく、現在の契約を変更し、20年間の賃貸借契約を締結した上で、「生産面における不安定要素」を取り除くべきと考えるが、県の見解を伺いたい。

(13)現在、貸工場の賃料を減額中であるが、減額しなかった場合の支払予定額と現在の支払済額の差額はいくらになるのか伺いたい。

(14)株式会社翔栄の設備投資を担保するため、売買契約書に、貸工場購入後に設備投資を行わなかった場合は売買を取り消す旨の条項を設けるべきと考えるが、県の見解を伺いたい。

(15)株式会社翔栄の設備投資に対して想定される補助金の内容について伺いたい。

(16)仮に設備投資額が20億円、30億円又は50億円とした場合、機械的に試算すると、それぞれの補助金の額がいくらになるか伺いたい。

(17)貸工場を売却すべきではないと考えるが、知事の見解を伺いたい。

(18)貸工場の売却により県からの貸付金の一部を回収できなくなることについて、知事は責任をどうとるのか伺いたい。

平成27年11月第284回定例会

民主党会派の渋谷哲一です。
議長のお許しをいただき、10月10日のアンカラで起こった卑劣なテロ行為、そして11月30日のパリ同時テロ事件で犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
いずれも、100名以上の一般市民が、何の前触れもなく事件に巻き込まれ、亡くなりました。
これらの事件は、ある日突然、世界中どこでも、無差別にテロが起こり得る、という厳しい現実を、私たちに突きつけました。
日本政府は、国民の反対の声を無視し、安全保障関連法を整備し、同盟国との「力の抑止力」を選択し内外にアピールしました。今や、日本も、無差別テロの対象となり、青森県でも、その可能性を否定できない状況となりました。
もし、日本で、同じような無差別テロが起これば、政府は、国民の安全を守るという大義のもと、国民を監視し、管理する法律を次々と発布し、国家による力の統制が進んでいくのではないかと危惧しております。
力による抑止、力による管理が、本当に国民が望んでいる日本の姿なのでしょうか。

パリ同時多発テロで妻を亡くしたフランス人ジャーナリストのアントワーヌ・レリスさんがフェイスブックに投稿した実行犯へのメッセージが、今、世界に広まっていますので、ご紹介いたします。

「君たちを憎むことはない」

金曜日の夜。君たちは特別な人の命を奪った。
私の最愛の人であり、息子の母親だ。だが、私は君たちを恨まない。
私は、君たちが誰であるかを知らないし、知りたくもない。
君たちは、死した魂だ。
君たちは、神の名において無差別な殺戮をした。
もしその神が、自分に似せて私たちをつくったとすれば、私の妻の体に打ち込まれた弾丸の一つ一つが、彼の心の傷になっただろう。

私は、君たちに憎しみの贈り物をあげない。君たちはそれを望んだのだろうが、怒りで憎しみに応えるのは、君たちと同じ無知に屈することになる。君たちは、私が恐れ、周囲に疑いの目を向けるのを望んでいるのだろう。安全のために自由を犠牲にすることを望んでいるのだろう。それなら君たちの負けだ。私は、これまでと変わらない。

私は、今朝、妻と再会した。幾日も幾夜も待ち続けてやっと会えた。
彼女は金曜日の夜、出かけた時のままだった。
私が12年以上前、激しい恋に落ちた日と同じように美しかった。
もちろん、私は悲しみにうちひしがれている。君たちの小さな勝利を認めよう。
だが、それも長くは続かない。
妻はこれからも、いつも私のそばにいて、私たちは、
君たちが決して近づくことができない自由な魂の天国で一緒になる。
私は、息子と二人になった。だが、私たちは、世界のすべての軍隊よりも強い。

君たちにかまっている時間はもうない。
昼寝から目覚めたメルビルのところに行かなければならない。
まだ1歳と5か月になったばかりの彼は、いつもと同じようにおやつを食べ、私たちはいつもと同じように遊ぶ。この子の生涯が幸せで自由であることが、君たちを辱めるだろう。君たちには彼の恨みですら、あげることはない。

「テロに屈しない」、とはどういうことなのか。
私たち日本人にしかできない世界平和への貢献の仕方があるのではないでしょうか。
世界から、貧困と憎しみの連鎖を無くしていく事が必要です。

1 二酸化炭素排出量削減の取組について(環境政策課、エネルギー開発振興課)
まず、始めに、二酸化炭素排出量削減の取組についてお伺いいたします。
11月30日、パリで第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開催されました。冒頭、議長国フランスのオランド大統領は、「我々は、テロと地球温暖化という2つの戦いに打ち勝たねばならない。」と約150か国の首脳と世界に呼びかけました。」
今回の会議が、人類存続のための英知を結集し、世界の新たな第一歩となることを切に願っております。

今回、COP21が目指しているのは、2つ。
2011年のCOP17で決定した「すべての締約国に適用される」こと、
そして、「2020年から、その効力が発生し、実施されること」です。

京都議定書が「トップダウン方式」だった欠点を踏まえ、90年代初頭から日本が提唱してきた、各国の自主的な目標設定を認める「プレッジ・アンド・レビュー方式」を採用し、既に、159の国と地域が削減目標を提出して、会議に臨んでいます。
アメリカ、中国、インドなど、温暖化ガスを大量に排出する国々も初めて参加し、国際社会の約86%、世界の排出量の約93%を占めております。

会議の初日、途上国の代表者から次々と先進国に対して意見が述べられました。
インドの首相は、「温暖化ガスは先進国の責任であり、途上国への支援が必要である」と訴え、温暖化により危機にさらされているキルギスの代表は、「もはや計画ではなく実行してほしい」との、切実な呼びかけ、そして、合意には、拘束力が必要だとの意見が次々と出されました。

温暖化ガスを削減するには、まず、高い目標を掲げ、それを着実に具現化していく実行力が必要です。そして、その先頭を走るのがドイツです。

ドイツの国民と政治は、2つの大きな決断をしました。
1つは、2050年までに、ドイツ国内の発電の80%以上を再生可能エネルギーで賄うこと。
もう一つは、2022年までにドイツ国内のすべての原子炉を停止し、廃炉するということでした。
ドイツを訪れる前、この2つの目標は、あまりにも高すぎて、その達成を疑問視していました。しかも、原発なしでは、とても無理ではないか、という先入観を持ち、調査に臨んでいました。
しかし、調査を進めるうちに、国民の意思と決意による「エネルギーヴェンデ」という、ドイツのエネルギーシステムの大転換を成し遂げるため、具体的に法律を作り、着実に目標に近づいている姿を目の当たりにし、それが間違いであることに気づかされました。

先ず始めに、一つ目の目標である、再生可能エネルギーです。
エネルギー転換の要である「エネルギーヴェンデ」は、
4つの政治的目的から構成されております。

1. 地球温暖化対策
2. 原発のリスクを避ける
3. エネルギーの自立を目指す
4. 国の競争力と成長を保証する

1990年代からドイツの再生可能エネルギーは、政府の支援によって発展してきました。政府による20年間の買い取り制度や送電網への優先的受け入れなどの手厚い支援は、再生可能エネルギー関連事業や発電事業への投資の信頼性を保証するものとなりました。
政府は、技術革新の奨励や技術の発展、システムの促進、再生可能エネルギーの電力市場拡大のため、「再生可能エネルギー法」を継続的に改善、調整を行ってきました。

今後は、太陽光発電、陸上風力発電、そして、洋上風力発電が、再生可能エネルギーの主役として伸びていくと予想しています。特に、洋上風力発電は、「のびしろ」があり、
再生可能エネルギー比率の増加を牽引するものと思われます。
これからの年間の伸びを、それぞれ、太陽光発電で+2500MW、陸上風力発電で+2500MW、洋上風力発電で+800MW、そして、バイオマス発電で+100MWと予想しておりますが、それぞれの目標値への到達度によって補助金の調整が行われる予定です。

2014年は、政府の予想に反し、再生可能エネルギーが急激に伸びました。再生可能エネルギーの発電コストは劇的に低下し、他の電源と遜色ないものとなってきました。
初期投資は高いものの、運転コストはほとんどゼロとなるため、今後は低コストを背景に更なる導入が進んでいくものと考えられます。
ドイツ国内の発電コストの比較を紹介いたします。
・風力発電のkwhあたりの発電コスト は、6~9 セントユーロ
・太陽光発電 : 8~9 セントユーロ
・石炭発電 : 7~11セントユーロ
・ガス発電 : 7~12セントユーロ
・原子力発電(国際標準) : 6~13 セントユーロ
・石炭発電(国際標準) : 13~16 セントユーロ

風力発電は現在、成熟した高度に確立された技術であり、1990年には、たった170kWの容量しかなかったものが、現在では、2~3MWのものが標準となっております。

また、太陽光発電は、2005年から2010年の間に70%という劇的なコスト削減が実現しました。これは、技術革新と世界規模の市場となった結果です。
風力と太陽光で、2022年におけるドイツ国内のエネルギー消費の36%、そして2035年には、51%を賄うものと期待されております

ドイツのエネルギー転換を支えているのは、国内に存在する電力の卸売市場とヨーロッパ各地を繋いでいる電力網です。
国内では、電力の需給に合わせて電力の価格が変動し、発電事業者も消費者も必要によって、この市場で電力の売買をします。結果として、競争原理が働き、電力の市場価格は低下し続け、2016年からは、3.5cts€/kwhで安定し、それに4.4~7.6 cts€/kwhの再生可能エネルギー賦課金を上乗せしたものが2010年から2035年までの電力卸売価格となります。
電力価格は、2022年、2023年にピークを迎え、その価格11.1 cts€/kwhから減少し、2035年には、7.9 cts€/kwhとなる予測を立てております。

また、ドイツは隣国10か国すべてと電力網で繋がっており、需給に応じて電力の輸出入が行われております。ドイツの電力市場はヨーロッパ最大であり、ドイツで何か問題があれば、直ぐにヨーロッパ全体に影響します。ドイツとヨーロッパは深く影響し合う関係にあります。
ちなみに、ドイツは、2003年から「電力輸出国」となっており、2014年には、35.5TWh(ドイツで消費するエネルギーの5.7%)を輸出し過去最高を記録しました。

次に、脱原発です。
原子力プログラムは1950年代に、オイルショックを受けて発進しましたが、厳しい世論の反対を受けてのスタートでした。1970年代半ばから1980年代半ばまで強力な反対運動が起こり、いくつかの原発と再処理施設は実現しませんでした。
そこへ1986年のチェリノブイリ原発事故が起こり、すでに過熱していた反原発の世論を決定的なものにしました。
緑の党は全原発の即時撤廃を訴え、社会民主党は、脱原発に舵を切りましたが、連立政権のCDU/CSUとFDPは、原子力推進を変えることはありませんでした。

そして、1980年代の終わり、地球温暖化対策の必要性が政治の共通の認識となり、
ここで初めて国会で最初の気候変動に向けた決議が行われました。

2050年までに地球温暖化ガスを80%削減するという目標です。

この目標は、1990年代に具体的な政策に代わっていきました。
最初の気候変動に対するアクションプランは1990年に政府で採用され、翌1991年には、最初の再生可能エネルギーを支援するプランが紹介されました。
東西ドイツの統一時には、東ドイツのエネルギー供給システムを変えるため、
東ドイツにある6基の原発が停止され、石炭発電所は、最新のものに変えられました。

1997年には、京都議定書を批准し、2020年までに地球温暖化ガスの1990年比で21%削減を国際公約としました。

エネルギー政策の大転換は、2000年代に行われました。

連立を組んでいた社会民主党と緑の党は、政府とエネルギー事業者の間で2002年に合意に至った脱原発を2022年ころまでに完了することを決定しました。
エネルギーの効率化と再生可能エネルギーの推進を強力に後押しする政策でした。

2003年と2005年には、2基の原発が初めて停止されました。

2005年から2009年の間、CDU/CSU そしてSPDによる連立政権が誕生しましたが、政策は継続され、2007年、2020年に1990年比で温暖化ガスを40%削減するという目標を盛り込んだ気候変動とエネルギー政策パッケージが採用されました。

2011年、福島原発の事故後、ドイツで原子力への反対運動が再燃しました。
実は、その前年の2010年、ドイツでは、保守とリベラルの連立内閣(CDU/CSU and FDP)が誕生し、Energiekonzeptという新たな中長期の再エネ中心の経済政策2050を採用しておりました。この中で、政府は、原子力発電所の運転期間を8年から14年間延長し、当初の脱原発の期限を2022年から2036年へと変更していたのです。

しかし、福島の事故から6か月後、政府は、2010年の原発運転延長法を撤回し、2002年の脱原発法を改正して、19基ある原発のうち、7か所の古い原発は、直ぐに停止、廃炉となりました。
驚いたことに、この2011年6月に成立した新規の脱原発法は、国会の投票で、85%の賛成を得るという超党派による、これまでに例を見ない合意によって誕生しました。
これによって現在、2022年までに脱原発を完了し、2050年には、発電の80%以上を再生可能エネルギーで賄うという、統一された国の目標が打ち立てられました。
ドイツ国民の90%は、この政策を支持し、まさに、国民の意思によって脱原発が進められたのです。

エネルギーヴェンデの結果、2014年におけるドイツの電源比は次の通りです。
・再生可能エネルギー     : 3.6%(1990年)➡ 26%
・原子力     : 27.7%     ➡ 16%
・褐炭火力(低品質の石炭) : 31%      ➡ 25%
・石炭火力 : 26%      ➡ 19%
・ガス火力 : 6.5%      ➡ 10%

2014年、再生可能エネルギーの比率は次の通りです。
・風力 :9%
・太陽光 :6%
・バイオマス :8%
・水力 :3%

特筆すべきは、2014年、初めて、再生可能エネルギーがドイツ国内の最大の電源となりました。

ドイツの未来は、「Energiewende(エネルギーヴェンデ)」によって、大きく変わりました。もちろん、世界各国、特にヨーロッパでは、同じようなエネルギーの政策転換が行われていますが、ドイツのスピード感とスケール感は、世界でも特筆すべきものであると自負しています。

さて、青森県では、どのように温暖化ガスを削減していくべきなのでしょうか。
二酸化炭素削減を実行していくためには、政治の強い意志と覚悟が必要です。
高い目標と、それを具体的に支援し、実行するシステムを作ること、そして、県民の高い意識とサポートが必要不可欠です。

(1)省エネルギー対策の取組について(環境政策課)

地球温暖化ガスを削減するには、2つの手法があります。
一つは、エネルギー効率を高め、エネルギーの消費を減らす事。
もう一つは、化石燃料由来の電源を減らしていく事です。
まず始めに、本県で行われている省エネルギー対策の取組についてです。
ア 青森県の温室効果ガス排出量の状況についてお伺いいたします。
イ また、本県の温室効果ガス排出削減に向けた取組についてお伺いいたします。

(2)新たな青森県エネルギー産業振興戦略について(エネルギー開発振興課)

次に、新たな青森県エネルギー産業振興戦略についてお伺いいたします。
今回、新たな青森県エネルギー産業振興戦略の素案が示されました。
私が、今回、学んだ教訓は、先進的な取り組みは、産業となり雇用につながっていくということです。
ドイツでは、州の力が強く、それぞれの地域が発電事業から送電事業などを積極的に推進し、自治体自らも運営しております。
今後、日本は、電力の小売りの自由化や発送電分離が、エネルギーシステムの大転換を促すものと考えられます。青森県も産業戦略として、この分野を重視すべきです。特に、本県は、寒い気候のため、化石燃料の消費が全国トップクラスです。
熱エネルギーを、再生可能エネルギーでどのように供給できるのかが、本県の今後の課題であり、チャンスではないでしょか。

ア 今回示された戦略(素案)におけるエネルギー産業振興の基本的な考え方についてお伺いいたします。
イ 新たな戦略においては、再生可能エネルギーの導入促進による雇用の創出に、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

2 奨学金制度について(企画調整課、教職員課)

次に、奨学金制度についてお伺いいたします。
奨学金を利用し、大学を卒業しても就職できず、また、就職しても低賃金であるため、奨学金を返済できないという事例が増加しております。
実際、日本学生支援機構の奨学金を借りて返還を延滞している人は、2003年度に22万2千人だったのに対し、2014年度には、32万8千人と増加しております。
教育は、国の柱であり、収入の差で、教育の機会が変わることがあってはならないはずです。ましてや、教育を受けるために借りたお金が、その人の人生を脅かすということがあってはならないのではないでしょうか。
本県の子供たちがどのような環境にあるのか、県として状況を把握する必要があります。
(1)公益財団法人青森県育英奨学会が行う奨学金事業の貸与及び返還の実績について、高校の授業料無償化導入前の平成21年度の状況と平成26年度の状況をお伺いいたします。(教職員課)
(2)公益財団法人青森県育英奨学会が行う奨学金事業の返還について、どのような対応をしているかお伺いいたします。(教職員課)

また、国では、学生が、日本学生支援機構などから借りた奨学金を返還する際、地元企業に就職すれば支援することとしております。他県では、若者の地元への Uターンや人口流出を食い止めるため、国の制度を利用して、学生が地元に就職した場合、その自治体が奨学金の返還や支援するという検討をしている自治体が増えていると聞いております。
本県でも、検討すべきではないでしょうか。
(3)奨学金返還支援制度について、他県の状況と本県における検討状況を、お伺いいたします。(企画調整課)

3 オーダーメイド型貸工場活用促進事業について(産業立地推進課)
次に、オーダーメイド型貸工場活用促進事業についてお伺いいたします。
アノーヴァが、オーダーメイド型貸工場を引き継いでから、丸4年が経過しました。
この間、リース料の減額などの問題がありましたが、今日まで100名以上の雇用を継続してきていることに対して、敬意を表します。
その一方で、この貸工場には29億以上の、税金が投入されているのも事実です。
是が非でも、事業を継続して、公金を投入した県の判断は間違っていなかったということを証明しなくてはなりません。
(1)まず、オーダーメイド型貸工場事業経営状況等点検会議の開催状況についてお伺いいたします。

(2)また、株式会社ANOVAの経営状況についてお伺いいたします。
   県は、貸工場に約8億円ものを追加投資しました。最低でも、この金額は回収すべきと考えます。県から21あおもり産業総合支援センターに対する貸付金の残高が追加投資前の額に戻る時期についても合わせてお伺いいたします。
4 北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録実現に向けた取組について(世界文化遺産登録推進室)
次に、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録実現に向けた取組についてお伺いいたします。
今年、世界遺産登録となりました「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、鹿児島県を中心とした、世界遺産登録推進協議会によって運動が展開されておりました。
同協議会は、登録に必要な専門的調査研究を行うため、海外の専門家として、元イングリッシュヘリテージ総裁のニール・コソン卿他7名、国内専門家を含め、総勢15名からなる専門家委員会を設置しました。
これは、世界遺産への登録を実現するためには、海外の専門家から見ても妥当だという視点が不可欠との考えによるものでした。
更に、海外の専門家に資産構成の妥当性を協議してもらい、中立性を堅持したため、資産構成から外れた自治体も納得しながら協力を得ることが出来たそうです。
このプロジェクトは、平成17年に、鹿児島県主催で開催された「九州近代化産業遺産シンポジウム」において、基調講演を受けたイコモスの産業遺産事務局のスチュワート・スミス氏からの提言を受けたことがきっかけとなったものです。
本県でも今回の組織改正を契機に、鹿児島県の事例を踏まえ更なる取り組みが必要と考えます。
(1)新たに、知事部局に「世界文化遺産登録推進室」が設置されたが、これまでの体制との違いをお伺いします。

(2)世界遺産登録の実現に向けて、海外の方を専門家委員として活用した例もありますが、県では今後どのように取り組むのかお伺いします

5 地域農業を担う集落営農の推進について(構造政策課)
次に、地域農業を担う集落営農の推進についてお伺いいたします。
2015年の「農林業センサス」によりますと、青森県でも農業の組織化と大規模化が進んでいることがしめされております。
時代の変化とともに農業も変わっていかなければならないと感じます。
今後、TPPが発効されれば、日本の農業は、世界との競争という荒波にさらされます。
その時、農業を守っていくのは、経営力に他ならないのではないでしょうか。
本県でも、農業の経営力を高める更なる取り組みが必要です。個人経営から集落営農に変え、地域経営を育成していくべきと考えます。

(1)集落営農の現状についてお伺いいたします。

(2)また、集落営農の組織化・法人化を進めるため、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

6 生活困窮者の自立支援について(健康福祉政策課)

最後に、生活困窮者の自立支援についてお伺いいたします。
かつて、国民の大多数は、中間層と呼ばれておりました。しかし、政治が国民の生活向上を目指してきたにもかかわらず、現在では、格差が拡大し、生活に困窮する人が増え続けております。この状況を象徴するように、本年、千葉県の母子世帯で、住宅強制立ち退きの日に、母親が無理心中を図り、子供を死なせるという悲惨な事件が起こりました。
この母子は、就労援助や児童扶養手当などを受けておりましたが、行政の横の連携が十分でなかったことも一因とされております。
4月に施行された生活困窮者自立支援法は、このような社会的孤立を防ぐためのセーフティーネットとなります。今後、第2、第3の事件が本県で起こることを、未然に防ぐためにも県内での実態把握が必要です。
そこで質問いたします。

(1)窓口における相談者の年齢、性別及び相談経路についてお伺いいたします。

(2)継続的に支援が必要となった方がどのような問題を抱えているのかお伺いいたします。
生活困窮者は、複数の課題を抱えている方が多いと言われております。
(3)複数の問題を抱えた相談者に対しては、窓口だけではなく関係機関と連携しての支援が必要と思われるが、県の考えをお伺いいたします。

また、生活困窮者自立支援法の中に、任意事業として、就労準備支援事業があります。
この事業は、「社会との関わりに不安がある」、「他の人とコミュニケーションがうまくとれない」など、直ちに就労が困難な方に、6か月から1年の間、プログラムにそって一般就労に向けた基礎能力を養いがながら就労に向けた支援や就労機会の提供を行うものです。
今年4月17日付で、厚生労働省が、都道府県、政令指定都市、中核市あてに実施した調査によりますと、この事業を実施していないのは、本県と愛媛県だけでした。

(4)直ぐにでも実施すべきと考えますが、今後の見通しについてお伺いします。

以上で、檀上からの質問を終わります。

再質問

青森県エネルギー産業振興戦略について
・積雪寒冷地である本県では、「発電」だけではなく、「熱利用」の普及が重要と考えます。「熱利用」普及に向けた県の考え方についてお伺いいたします。

オーダーメイド型貸工場活用促進事業について
・仮に株式会社 ANOVA の経営状況が悪化する予兆があった場合、県はどのように対応するのかお伺いいたします。(突然、給与、経費の支払い)

奨学金制度について
・高校奨学金の返還率低下の要因を把握すべきと考えるが、県教育委員会の見解を、お伺いいたします。

平成27年11月 第284回定例会一般質問通告内容

1 二酸化炭素排出量削減の取組について
(1) 省エネルギー対策の取組について
(2) 新たな青森県エネルギー産業振興戦略について
2 奨学金制度について
3 オーダーメイド型貸工場活用促進事業について
4 北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録実現に向けた取組について
5 地域農業を担う集落営農の推進について
6 生活困窮者の自立支援について

12月2日(水)に上記内容で一般質問を行います。
どなたでも傍聴できます。
詳細は青森県議会ホームページをごらんください。